最近、ChatGPTの画像生成がまたアップデートされて、性能がすごいことになってる。文字もちゃんと書けるようになったし、日本語にも対応。それを見て、デザイナーの間でまた不安が広がってる。
もう私たちの仕事、AIに取られるんじゃない?
SEOもそうだし、IT系の仕事は特にAIが出てきて怯えてる人が多い。この前、アメリカでSEOの仕事をしている夫と居酒屋で、ガチ議論に。
結論から言うと、「AIに怯えるより、自分がどのポジションに移動するか決めて動いた方が得」という話になった。その内容をまとめておきたい。
「結局、人間に戻ってきている」って本当?
2022年あたり、アメリカで「AIが仕事を奪う」と言われて、身近なとこでも首切りが起きた。でも、結局AIじゃなくて人に頼むことになって戻ってきた。AIが信用できなくて、やっぱり人間の手でやってほしい、ってなった会社。仕事をAIに切り替えるって言って首切りしたけど、できなくて会社が破綻しそうになった例も見てる。
だから、そんなに怯える必要はないんじゃないか、というのが最初の結論になった。半分本当で半分誇張なのかもな。
Klarnaの場合
スウェーデンのKlarnaという会社。2023年ごろに「AIで顧客対応の大部分をやる」と打ち出して、大きく人員削減した。「700人分の仕事をAIがやってる」と公表していた。
でも2025年、CEOがコスト重視に振りすぎて品質が落ちたと認めて、人のサポートを増やす方向に戻すと発表した。ただし、正式に「再雇用します」というよりは、品質低下を受けて人を戻したり、一部の業務を再配置したりする形に近い。人員規模自体は、削減後の水準が維持されている。
Duolingoの場合
Duolingoも同じ。「AIファースト」って宣言してSNSで大炎上、TikTokやInstagramの投稿を取り下げる事態になった。社内評価にAI使用度を入れる方針は撤回したけど、ビジネス的にはむしろ売上もユーザー数も伸びてて、AI推進方針自体は今も維持してる。
つまり、現実はこう。AIで全部置き換える路線はうまくいかない。でもAIによる大幅な人員削減は現実に起きていて、「やっぱりここは人の力が必要だ」と判断された一部だけを人による対応に戻している、というのが実態に近い。「AIに置き換えた会社は人に戻してる」と言い切るのは言い過ぎだけど、「もう一度、完全に人の手だけで回す時代に戻っているわけではない」という点は、ちゃんと押さえておきたい。
本当の問題は、真ん中の層が薄くなること
ChatGPTの性能がここまで上がっちゃって、何が起きてるか。「これデザインとして何かおかしい」って、気づけるクライアントはどのくらいいるのか。しかもABテストも自分たちでしやすくなった。色々試して、っていうのが簡単にできる。
そうなったとき、デザイナーって何で勝負するの?って話になる。
前は「綺麗に凝ったものが作れるデザイナーが残る」って言われてた。でも今見たら、凝ったものもAIが作れるようになってきちゃって...
デザインって結局問題解決で、その問題解決のためのマーケティング思考がないとデザイナーは残っていけない。
「マーケを学べ、コピーを学べ、SEOを学べ、CROを学べ」——これは今も昔も正しい
特に経験がない人は、これを学ばないとクライアントと会話すらできない。「なぜこのデザインにしたか」を言語化できなきゃ、提案も通らないし、信頼も得られない。上の層に行く前の、最低条件。
ただし、ここで勘違いしちゃいけないのは、マーケを勉強する目的は「AIと同じことをするため」じゃない、ということ。
教科書的なマーケ理論、フレームワーク、LPのセオリー、CROの型、UXのチェックリスト。こういう「教科書知識としてのマーケ」は、人間が学んだ瞬間からAIにも全部吸い上げられる種類の知識。だから「マーケを勉強したからAIに勝てる」は、もう成り立たない。
でも、マーケを知らないと、AIが出してきた案の良し悪しを判断できない。結局、マーケの勉強って、AIと一緒に戦うための「審査員になるための勉強」であって、AIと同じことをするための勉強じゃない。
つまりこう整理できる。
マーケ・コピー・SEO・CRO・UI/UXの知識
AIの出した案を審査するために必要。
人間にしかできない領域
ここで勝負が決まる。
経験のないデザイナーは、まず必要条件を揃える。同時に、差別化要因になる経験を積み始める。この二段構えでいくしかない。
差別化要因になる「AIに当分真似しづらいこと」
冷静に考えると、AIに今すぐ・近いうちに代替されにくいのはこういうこと。
クライアントとごはん食べる。オフィス訪問して空気読む。展示会で生のユーザーの反応見る。紙に書いて見せる。ホワイトボードで一緒にブレストする。ここから生まれる信頼関係と肌感覚は、AIには取れない。
契約上の責任を負う。失敗したときに頭を下げる。リスクを背負って判断する。AIは責任主体になれない。「誰がこの仕事を保証するか」は、当分人間の話。
AIはデータの平均から推奨を出す。「データはこう言ってるけど、私はこっちだと思う」っていう逆張りの判断は、現時点では人間寄り。革新って、いつもデータの外側から来る。
このクライアントの社長は数字より物語に弱い。この担当者は上司の機嫌を気にしてる。提案の順番を変えるタイミング。人間関係の機微はAIにはまだ見えない。
旅行、失敗、移住、子育て、語学。そこから生まれる感性・文化的な肌感。これは情報じゃなくて体験からしか出てこない。創造性の研究でも、AIとの差がまだ大きいとされる部分。
AIは過去データから「これが反応良かった」を出してくる。でも「このブランドはあえてそういうことはしない」「短期の数字を捨ててでも長期のブランドを取る」「ここは炎上リスクがあるからNO」ーこういう戦略と価値観のレイヤーは、AIに任せるとブランドが壊れる。「何を捨てるか」を決めるのは人間の仕事。
デザイナー業界、3つの層に分かれていく
この前提でデザイナー市場を見ると、こう分かれていくと思う。
上の層
「AIじゃなくて人に任せたい」って人たち。ここで求められるのは、知識・技術プラス、上に書いた人間にしかできないこと。責任を取る、関係を作る、現場に立つ、逆張りの判断をする、何を捨てるか決める。ここは高単価で残る。
真ん中の層
AIで自分たちが作れるようになる人たち。ここの「ただ作業を受けるだけのゾーン」はほぼ確実に小さくなる。今クライアントとして依頼してくれてる人たちも、AIで自分でできるようになって、ここから離れていく。
ただし、「AIで作れるけど、戦略やブランドの部分はプロに頼みたい」というハイブリッド型のニーズも出てきている。だから真ん中が全部消えるわけじゃなくて、「作業だけ」のポジションが消えて、「戦略+作業」がセットになるイメージ。
下の層
AIが全くわからない、自分でできない人たち。簡単なものが安く欲しい層。ここは低単価で、駆け出しデザイナー同士の取り合いになる。
自分はどこに行くべきか。ちゃんと見て決める必要がある。
「今がラストチャンス」じゃなくて「移動の準備期間」
よく「AIが来る前のラストチャンス!」って煽る言葉を見るけど、それはちょっと違うと思う。
今は移動の準備期間。真ん中の「作業だけゾーン」が小さくなる前に、上の層に行ける準備をする。そのために、必要条件(マーケ・コピー・SEO・CRO)を揃えて、差別化要因(人間にしかできない領域)で経験を積む。
そして大事なのが、今のうちに案件を取りまくること。なぜなら、今依頼してくれてるクライアントも、AIで自分たちでできるようになってきたら離れていく。その前に、現場に立って、責任を取って、関係を作って、AIに当分真似しづらい仕事の仕方を体に染み込ませておく。
AIに怯えてる時間があるなら、その時間で1件でも案件を取りに行く。
最後に
たしかに、マーケ・コピー・SEO・CRO・UI/UXみたいな「知識としてのマーケ」は、AIも同じように覚えられる。だから「マーケを勉強したからAIに勝てる」は、もう成り立たない。
でも、マーケを知らないと、AIが出してきた案の良し悪しを判断できない。だから勉強する。AIと同じことをするためじゃなくて、AIと一緒に戦うための審査員になるために。
そのうえで、「このブランドでそれをやるかどうか」「この人たちと一緒にどこを目指すか」を決めるのは、人間の仕事のまま。
AIをナメてもいないし、人間だけ持ち上げてもいない。そのちょうどいい場所で、私は仕事をしていきたい。